>>588
南氷洋上の壮途にあった日本水産の第一図南丸が先程巨鯨八百七十頭を捕獲し、一万数千トンの鯨油を得たという快報は未だ耳新しいが、
これについで太洋捕鯨の日新丸も捕鯨千五百七十頭、一万八千百五十トンの鯨油を齎したという、このところわが遠洋漁業の雄飛を裏書
きするような快報が続いて舞込んだが、併し二万トンそこそこの鯨油では、大見得張って凱歌を挙げるわけにはゆかないのだ

先程南氷洋上から凱旋した第一図南丸や日新丸の如き一万五、六千トン級の捕鯨船が寒気を冒して遂に南氷洋上まで乗出すというのに
はわけがある、即ち北極、南極の如き寒冷の洋上に游泳する鯨は多量の油を有しているのである

昭和13年 中外商業新報
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=10081814&;TYPE=IMAGE_FILE&POS=1