日本船舶輸出組合が16日発表した2018年の輸出船契約実績(受注量)は、前年比14%増の1078万6371総トンだった。前年を上回るのは2年連続で、3年ぶりに1000万総トン台を回復した。海洋の環境規制の強化を見据え、世界の造船市場は回復基調。ただ液化天然ガス(LNG)運搬船の受注が3年連続でゼロと、総合重工系を中心に苦戦は続く。

18年の受注隻数は215隻。船種別で最も多かったのは穀物や鉱石などを運ぶばら積み船で156隻。石油や化学物質を運ぶタンカーが32隻、コンテナ船が26隻、その他が1隻だった。

近年の造船市況は排ガス規制の駆け込み需要などで15年に大きく伸びた。同年の受注量は8年ぶりの高水準となる2222万総トンまで拡大したが、結果的に需要を先食いしたことで翌年には371万総トンまで縮小した。造船各社は同型の船を複数まとめて受注する「ロット契約」などの取り組みを進め、受注量の改善が進んだ。

ただ、先行きには不透明感が残る。「米中貿易摩擦などから海運市況の動きが鈍い上、外国為替市場で円高が進むなど市況には不安要素が残る」(同組合)との指摘もある。

特に日本の造船所が得意としていたLNG運搬船の受注は16年から受注ゼロが続いている。北米でのシェールガスの開発拡大を受けてLNGの輸送需要も増加しているものの、18年は韓国勢が40隻以上受注した。

LNG船の契約価格は日韓でなお開きがあり、造船関係者の間からは「船価を調整しているとしか考えられない」(造船業関係者)との声も上がる。付加価値の高いLNG船の建造に特化してきた三菱重工業や川崎重工業などの造船部門には苦境が続きそうだ。

18年12月末の手持ち工事量は2586万総トンで前年同月末比5.5%減少した。受注残を食いつぶす状況も続いている。

2019/1/16 13:15
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40059140W9A110C1XA0000/