格安スマホでもVISAなどのNFC「タッチ決済」が可能になるプロジェクト始動

インサーは、VISAやMastercardなどクレジットカードの国際ブランドが推進しているNFC(TypeA/B)の「タッチ決済」を、
既存の安価なスマートフォンや実店舗、ショッピングサイトで利用できるようにするプロジェクト「INCIR」(インサー)
を開始した。オンラインの機能やプラットフォームは5月のサービスインを予定し、スマートフォン向けの展開は
2019年秋の開始を目指す。

(中略)

■キャリアや端末メーカーにも働きかけ
すでにビックカメラは、店頭で配布するスマートフォン関連のフリーペーパーと「INCIR HOME」のメディア機能を
連動させていく計画があるほか、NEC-PCは、自社のPCに、オンライン決済手段として「INCIR HOME」に対応させていく
計画を明らかにするなど、具体的な計画も紹介されている。W3Cの標準化に参加している慶應義塾大学は、
フィンテック関連の規格を検討する一環として共同研究を行う。

またインサーを擁するGoouteは、日本のほか、シンガポールやオーストラリア、東アジアの新興国での展開を
計画しており、端末メーカーなどとも協議していく方針。

インサーによれば、中国やインドなどでは、NFCを搭載していない格安のAndroidスマートフォンが多く販売されている
こともあり、(NFCも不要な)QRコード決済が普及したという背景があるという。ただ、これら現地の関係者も、
より安全で簡単、素早く決済が終わる「タッチ決済」を本命とみているとのことだった。

非接触決済では、決済に必要なセキュアエレメントをSIMカードに搭載するといった方式も登場しているが、多くの場合で
決済サービスの事業者との連携が弱く、普及には至っていないという。また海外では、キャリアのメーカーへの影響力が
相対的に弱いことも影響しているとのことだった。「INCIR」では、NFC決済機能をmicroSDカードとして端末から切り離す
ことで、アプリや決済プラットフォームの一環として提供できるほか、機種変更時にもmicroSDカードを差し替えるだけで
済むといったメリットもあるとしている。

インサーとしては、おサイフケータイがそれなりに広がり、またiPhoneのシェアが非常に高い日本市場で、強気で攻めて
いく展開は考えていないという。日本で一定の市場を築きつつあるSIMフリーのスマートフォンに向けてプラットフォーム
を提供しつつ、日本の大手企業との連携や産学共同でプロジェクトを進めることで、海外での展開に箔をつけるといった
狙いもあるようだ。

https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1164934.html

ケータイ Watch 太田亮三 2019年1月16日 20:40