https://mainichi.jp/articles/20190115/k00/00m/040/026000c

 ネットを使った犯罪から子どもたちを守ろうと、高校生が講師となって小中学校でスマートフォンの使い方などを教える「サイバーセキュリティーボランティア」に、
長崎県警が取り組んでいる。児童・生徒と近い世代による出前授業は好評で、県内全域での事業実施を目指している。【松村真友】

 昨年10月下旬、諫早市の北諫早小で、諫早商高の3年生7人が6年生35人に授業をした。同校情報科の垣内汐理さんらが自作の資料を使い、
スマートフォンなどのパスワードの扱い方や、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に個人情報を掲載するリスクなどを説明。
「(SNSに)写真をアップする時は、名前や場所などが特定されないか注意しましょう」などと呼びかけた。

 高校生の派遣は、県警が県教委などに打診し昨年7月に始まった。講師を務める高校生は、情報セキュリティー会社の指導を受け、
話す内容や資料を自分たちで考えて授業に臨む。これまで二つの高校が小中6校で授業を実施。
県警でサイバーセキュリティー戦略を担当する岩本茜警部は「先輩からアドバイスを受けている感覚で真剣に聞いている。大人が問いかけるよりも反応が良い」と語る。

 県警担当者らによる同様な被害防止の授業は以前からあるが、学校側から「また高校生にお願いしたい」との声も出ているという。

 2017年に県警に寄せられたサイバー犯罪に関する相談件数は3233件で、1486件だった12年の2倍以上。
また、県警が検挙したサイバー犯罪は、児童買春・児童ポルノ禁止法違反や青少年保護育成条例違反が上位を占め、子どもがトラブルに巻き込まれる危険性は高い。

 一方で、岩本さんは「子どもは加害者にもなりうる。無意識のうちに犯罪行為をしていたり、友達を傷つけたりしていないか気をつけて使ってほしい」とも指摘する。