2019年1月15日
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20190115-OYTET50025/?catname=news-kaisetsu_news

 月経に異常がある女性運動選手は、疲労骨折を起こすリスクが8倍に上り、一度骨折すると繰り返すリスクも高まるとする研究結果を、慶応大のチームがまとめた。英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。

 女性選手の疲労骨折は、運動量の多さに食事量などが見合わず、エネルギー不足からホルモンのバランスが崩れ、骨粗しょう症を引き起こすことで生じる。

 チームは2017年、同大の体育会所属の女性選手56人を調べたところ、13人が脚を疲労骨折した経験があった。このうち11人に、月経不順や無月経などの異常がみられることも分かった。さらに1年間の追跡調査を行うと、3人が再び疲労骨折していた。

 血液や尿の検査結果をみると、疲労骨折を経験した選手は、骨や筋肉がダメージを受けると生じる酵素の値が高く、骨の形成に関わるたんぱく質の値は低かった。これらの酵素やたんぱく質の値を調べれば、疲労骨折のリスクを予測できる可能性が示唆された。

 研究をとりまとめた同大特任准教授の宮本健史さん(整形外科)は、「女性選手の疲労骨折は選手生命に関わる。過去の骨折経験や月経の異常、血液や尿の検査値を参考に、トレーニングの方法の工夫や見直しが必要だ」と話している。