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日立 イギリスでの原発建設計画凍結 約3000億円損失計上
2019年1月17日 19時41分

日立製作所はイギリスで進められている原子力発電所の建設計画への参加を凍結し、これに伴って、今年度およそ3000億円の損失を計上すると発表しました。

発表によりますと、日立は17日、取締役会を開き、イギリス中部・アングルシー島で進められている原子力発電所の建設計画への参加を凍結することを決めたということです。

凍結の理由について日立は、安全対策などでコストが膨らむ見通しになるなか、イギリス政府などとの調整にはさらに時間がかかり、事業の採算の確保が今の時点で見通せないためとしています。

これに伴って、日立はおよそ3000億円を損失として計上し、ことし3月までの今年度の最終利益の見通しを従来の4000億円から1000億円に下方修正しました。

一方、設備の更新やメンテナンスなどの国内外で手がける原発事業については、従来どおり維持する方針です。

日本国内で新たな原発の建設が事実上、ストップするなか、この計画は日本企業の原発事業の新たな収益確保や技術の継承の面からも注目されてきましたが、大きな節目を迎えることになります。

これまでの経緯

2020年代前半の運転開始を目指すイギリス・アングルシー島の原子力発電所の建設計画をめぐっては、日立製作所がイギリス政府と調整を続けてきました。

焦点となったのは事業の採算性の確保で、去年5月には日立の中西宏明会長がイギリスを訪問してメイ首相とも会談しました。

こうした調整の結果、採算に関わる電力の買い取り価格は、日立の求める水準を下回る1メガワット・アワーあたり70ポンド台前半に抑えるかわりに、3兆円規模の事業費のうち、イギリス政府側がおよそ2兆円を融資することになりました。

残りのおよそ9000億についてもイギリス政府、日立、そして日本の電力会社などが、それぞれ3000億円ずつ出資する枠組みで大筋で合意しました。

しかし、日本側では買い取り価格が低いこの枠組みでの採算性を疑問視する声もあり、電力会社や政府系金融機関などから出資を受ける交渉が難航していました。

このため、日立はイギリス政府に対して出資額を増やすよう要請していましたが、調整の見通しが立たないことから計画への参加の凍結を判断した形となりました。
(リンク先に続きあり)

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