中日新聞
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設を巡り、防衛省沖縄防衛局が埋め立て用土砂の単価を、県内の良質な石材の倍以上となる一立方メートル当たり一万円以上と見積もり、業者に発注していたことが本紙の取材で分かった。防衛省の内規で、土木工事の材料単価は原則三社以上から見積もりを取ることになっているが、一社だけの見積もりを採用していた。石材業界からは「単価が高い」という指摘が出ている。

 防衛局は埋め立てに、採石場などで石を砕く際に出る「岩(がん)ズリ」という規格外の砕石を使用している。同局は二年前、東京都内の調査機関に沖縄県産の岩ズリの見積もりを委託し、単価を積算。調査機関が十三社に岩ズリの見積額を尋ねたが、回答があったのは一社だけで、他は見積もりを辞退していた。

 防衛省の内規は「原則として三社以上から見積を徴収する」と規定。ところが防衛局は、この一社が提示した見積額をそのまま採用した。海上運搬費を含め一立方メートル当たり一万一千二百九十円で、埋め立て工事の予定価格に反映。先月から土砂を投入している工区は、防衛局が予定価格七十六億円で大林組などの共同企業体(JV)に七十二億円で発注している。

 沖縄県の公共工事の資材単価表では、岩ズリより良質な石材「雑石(ざついし)」を辺野古周辺で使う場合、一立方メートル当たり四千七百五十円(運搬費込み)と積算。また、国の出先機関の沖縄総合事務局は、那覇地区で港湾工事に使う場合、岩ズリの単価を同三千五百五十円(同)と積算している。

 建設物価調査会(東京)の担当者は「岩ズリは相場観が出づらいが、通常、路盤材に使う一番安価な石材より安く取引される」と説明。一番安価な石材「クラッシャラン」でも、沖縄本島の相場は運搬費込みで一立方メートル当たり四千円前後で、今回の価格は破格といえる。

◆適正に単価を積算

 <防衛省整備計画局の話> 沖縄では大型工事も多く、需給の変動が大きい。しっかり価格調査を行い、適正に単価を積算し発注した。

2019年1月19日 朝刊
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2019011902000069.html