環太平洋連携協定(TPP)発効を受け、牛肉輸入が急増している。財務省が25日に公表したTPP参加国からの1月上・中旬の累計輸入量は2万4000トンを超え、同参加国からの前年同月の1カ月分を14%上回った。「関税が大幅に下がったカナダ産を中心に増えた」(商社)。輸入急増時に発動する緊急輸入制限措置(セーフガード=SG)の基準数量は米国を含む水準のままで、機能しない状態だ。輸入拡大の対策として、参加国との基準数量見直しの再協議が急務となる。

 同省によると、TPP参加国からの1月1〜20日の牛肉輸入量は2万4207トン。上旬が1万7トンで中旬は1万4200トンだった。TPPが既に発効している日本を除く6カ国のうち、輸入実績のあるメキシコ、ニュージーランド、カナダ、オーストラリアの4カ国からと考えられる。

 例年、4カ国からの1月の輸入量は2万トン前後で推移するが、今年は20日間で前年1カ月分(2万1152トン)を上回った。今月下旬も同様のペースで増えると、4カ国だけで、昨年1月の全輸入国からの量(3万5631トン)に達する恐れがある。今月が牛肉の需要期ではないだけに、「相当な量だ」と大手商社は指摘する。

 国別では、「カナダ産への注目度が高かった」(輸入業者)。関税が38・5%から27・5%に下がり、賞味期間が長い冷凍品を中心に増加したことが予想される。

 SG発動基準数量は、発効初年度(18年12月30日〜19年3月31日)が14万7500トン。2年目の19年度は60万1800トンとなっている。米国のTPP離脱後も同国からの輸入量を織り込んだままの水準で、実情と大きく懸け離れる。「このままでは到底SGは発動しない」と商社。米国のTPP復帰が見込まれない場合に基準数量などを再協議する規定があるが、政府は見直しに否定的。SGが機能しないまま、輸入増が加速する可能性がある。

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