在日外国人の身分証明書を偽造したとして、法務省東京入国管理局が、入管難民法違反容疑で偽造拠点とみられる埼玉県川口市内のワンルームマンションの一室を家宅捜索し、偽造された在留カードなど約5千点を押収したことが28日、分かった。東京入管は、室内にいた元留学生の中国人の男(27)を同法違反容疑で摘発し、入管施設に収容するとともに警視庁に刑事告発。偽造グループの関与があるとみて全容解明を急ぐ。

 東京入管によると、偽造拠点の摘発は全国2例目で、押収量は過去最大規模。捜索は1月11日夜に行われ、偽造の在留カードのほか角度で見え方が変わるホログラムシール、画像データが入ったノートパソコンなどを押収した。(中略)
 偽造されたカードは「一般の人は本物と思うレベル」(担当者)の精巧なつくりで、在留期限や就労制限がない「定住者」「永住者」のカードを多く偽造していたとみられる。押収品の中には年金手帳や健康保険証、マイナンバーカードを偽造する材料もあり、顧客には中国人だけでなくインドネシア人、ベトナム人もいたという。

 日本で働く外国人が増えるのに伴い、正規の在留資格を装う偽造在留カードなどの「ニーズ」も増している。違法就労に悪用されている実態があるとみられるが、手口は巧妙化している。外国人労働者の拡大を目指す改正出入国管理法が4月に施行されるのを控え、抜本的な対策が求められている。
約30ある在留資格のうち大半は、「研究」「介護」「技能実習」など、働ける職種が決まっている。ただ、原則10年以上日本に居住していることなどが条件の「永住者」や、日系人などの「定住者」、日本人と結婚している人に認められる「日本人の配偶者等」といった在留資格には、職業選択に制限がない。
 在留期間が長い資格であればあるほど、携帯電話や不動産などの契約時に信用されやすくなるため、在留期限を過ぎても日本に残りたい外国人の間では、こうした偽造カードは数万円の高値で取引されているという。
 偽造在留カードを所持・販売した外国人の摘発件数は年々増加している。警察庁によると、29年は過去最多の390件。30年は半年間で291件と前年を上回るペースで推移している。
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https://www.sankei.com/smp/affairs/news/190129/afr1901290001-s1.html