温暖化対策訴え授業ボイコット ベルギー中高生3万人以上参加
毎日新聞 2019年2月1日 10時34分(最終更新 2月1日 10時34分)
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 ベルギーで中高生が週に1度学校を休み、地球温暖化対策の転換を訴えるデモを続けている。首都ブリュッセルで始まったデモは地方にも広がり、4週目を迎えた1月31日には各地で3万人以上が参加した。大人たちは、未来のため立ち上がった若者の社会参加を温かく見守っている。【ブリュッセル八田浩輔】


 「熱く、熱く、気候(変動)よりも熱く」。31日午前、ブリュッセル中心部を1万2500人(警察発表)がスローガンを繰り返してデモ行進した。多くは授業をボイコットして集まった中高生たちだ。持ち寄ったプラカードにそれぞれの個性がにじむ。
「気候変動(対策)をサボるのは、学校をサボるより悪い」
「気候は変わっている。私たちは変わらなくていいの?」。
友人2人と参加したローラさん(14)は「社会を変えるために来た」。学校を休んだが「親は誇らしいと言ってくれた」と笑う。

 1月10日、フェイスブックの告知だけで始まったデモの参加者は、初回の3000人から3週目には3万5000人に膨らんだ。この日は開催地の分散で個々のデモの規模は小さくなったが、国内の科学者約3500人が連名で支持を表明するなど勢いは増している。
学校側も容認しており、地元メディアによると、生徒の欠席がたまらないように参加者を順番に決めたり、学校として参加を検討したりする例もあるという。

 デモを呼びかけた高校生のアヌナ・デ・ウェーフェルさん(17)は、産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1.5度に抑えることを掲げた「パリ協定」の実現を訴える。
しかし1.5度目標を達成するには、参加国が掲げる温室効果ガス排出の削減量を5倍に高める必要があり、道のりは険しい。ベルギー総選挙の控える5月下旬まで毎週デモを続けて対策の強化を求める計画だ。

 温暖化対策のための学校ストライキは欧州各地に広がる。昨秋、スウェーデン国会前に2週間座り込み、そのきっかけを作った16歳の少女は、1月の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に招かれ、各国の首脳や企業トップに大胆な対策を講じるよう迫った。

 アヌナさんは「日本にも広がってほしいと思う。地球規模の重要な問題だから一緒に行動してほしい」と話す。異常気象など温暖化の影響が暮らしに及びはじめる中、変化のうねりは日本の同世代にも訪れるか。