脂肪の代謝異常が鍵か 「もやもや病」遺伝子の働き解明 京産大などのグループ発表


 日本や中国など東アジア人に多い脳の難病「もやもや病」に関わる遺伝子が、
細胞内で脂肪を蓄える働きをしていることを突き止めたと京都産業大などの
研究グループが発表した。同病は原因不明で、これまで脂質の代謝との
関係性は注目されていなかった。グループは「代謝バランスが崩れ、
病気が引き起こされている可能性がある」としている。

過去には徳永英明さんも発病を公表

 成果は米科学誌「ジャーナル・オブ・セルバイオロジー」電子版に
掲載された。

 もやもや病は脳の動脈が細くなり、手足の力が抜けたりする病気。
1957年に日本で発見され、毛細血管がもやもやとした煙のように見える
ことが病名の由来。発症は5歳前後に多く、成人以降では血管が破れて
脳出血が起きる場合もある。根本的な治療法はない。日本国内の患者は
1万数千人。歌手の徳永英明さんが病気を公表したことでも知られる。

 患者の遺伝子解析など従来の研究で、発症者には「ミステリン」という
遺伝子に変異があることが分かっていた。ただ、そもそもミステリンが
体内で果たす具体的な役割は不明だった。そこで、研究グループは
培養細胞を使ってミステリンが作るたんぱく質の働きを詳しく分析。
細胞内でこのたんぱく質が中性脂肪やコレステロールなどの粒を包み込む
様子が確認され、脂肪が分解しないようコントロールしていることが
分かったという。

 研究グループの森戸大介・昭和大講師(京産大元主任研究員)は
「もやもや病は脂質の代謝異常が鍵となっている可能性があり、
発病プロセスの解明につなげたい。また、肥満や動脈硬化といった
他の脂質代謝異常による病気にも役立つかもしれない」と指摘。
今後、患者と同様の遺伝子変異を持たせたマウスを使い、
さらに詳しい分析を進める。


毎日新聞【菅沼舞】(2019年2月6日 17時09分、最終更新 2月6日 17時38分)
https://mainichi.jp/articles/20190206/k00/00m/040/150000c