ちなみに元巡査部長の指導を負担に感じたことがあるのは被告人だけではなかった。
被害者は「書類作成に細かい」ことでよく知られていたのだ。
被告人、被害者と同じく河瀬駅前交番に配属され、ともに働いていたもう1人の警察官が、午後に証人出廷した際、次のように語った。

「同僚からは異動前、被害者は『厳しく細かい方』だと聞いていた」

実際に、3人での勤務中、書類作成時に被害者から12〜13回もの修正を求められた被告人が、夜中まで対応している姿も見ていた。
だが証人自身は、一緒に働いてみて「ちゃんと教えてくれる人なんや」という思いに至り、指導を受けることで「自分の実力が上がる」と考えるようにもなったと語っていた。

さらに、事件の前年度まで被害者とともに働いていた元部下の調書では、被害者の指導の実態がさらに明らかになった。
供述では、当時の辛い状況を振り返りながらも、やはり先の証人と同様、“愛のある指導”だったとも語る。