『ギリヤーク尼ヶ崎「鬼の踊り」から「祈りの踊り」へ』(北海道新聞社)
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朝日新聞の北海道版に掲載された記事で、北海道新聞社から出版された写真集から「事実上の盗用」をした箇所が多数みつかったとして、朝日新聞社は1月31日、連載を中止したうえで、記事を取り消すと発表した。お詫び文では「事実上の盗用」と表現されているが、法的にはどうだったのだろうか。

●写真集の記述と重なる表現がみつかった

問題になったのは、朝日新聞の北海道版で2019年1月12日と19日に掲載された記事「ひと模様 大道芸人 ギリヤーク尼ヶ崎さん」だ。北海道函館市出身で、大道芸人歴50年のギリヤーク尼ヶ崎さんの人生を振り返るという内容だった。

北海道新聞社から指摘を受けて、朝日新聞社が社内調査をおこなったところ、2016年に出版された写真集『ギリヤーク尼ヶ崎「鬼の踊り」から「祈りの踊り」へ』の記述と重なる表現が、連載1回目で約4割、2回目で約8割もみつかった。

記事を担当したのは、函館支局の記者で、ギリヤークさんに複数回会ったが、取材が十分でなかったことから、写真集の文章をもとにした「下書き」を用意。そのうえで、取材の中で、下書き部分をギリヤークさんに確認してもらって、上書きするかたちでまとめたという。

この記者は、写真集の著者欄に「ギリヤーク尼ヶ崎」と書かれていたことから、「ギリヤークさんの承諾を得て記述を使うことは問題ないと思った」と社内調査にこたえたという。一方、写真集の巻末に「2003年の北海道新聞夕刊の連載の記述をほぼ再掲載した」という記述がされていたことは見逃していた。

朝日新聞の連載記事と北海道新聞社出版写真集の文章の対照表(朝日新聞社) http://www.asahi.com/shimbun/release/2019/20190131b.pdf

●「著作権侵害になる可能性が高い」

朝日新聞社は「そもそも、他者が書いた文章を自分の文章表現として引き写すことは新聞記者として許されるものではありません。デスクや校閲などのチェック体制も十分機能していませんでした」とおわびしている。

同社ゼネラルマネジャー兼東京本社編集局長の中村史郎氏は「刊行物からの引き写しは記者倫理に反する行為であり、絶対に許されることではありません」とコメント。朝日新聞社は2月7日、担当記者を停職2カ月とするなど、関係者の処分を発表した。

このように、「事実上の盗用」と認定しているわけだが、法的にはどうなのか。著作権にくわしい雪丸真吾弁護士が解説する。

※省略

●「語尾や言い回しを変えたくらいではダメ」

「複製・翻案権侵害になるほど類似しているかどうか、という判断ということになると、ケース・バイ・ケースですので、なかなか一概に言えませんが、参考にした文章の語尾や、言い回しを変えたくらいでは駄目でしょう。

※省略

(弁護士ドットコムニュース)2019年02月09日 09時57分
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