この事件の犯人に対して「死刑にしろ」と言う声が多いのを見ると、
いかに日本人が野蛮で法支配がなされていないかがよく分かる。
殺人罪で立件もされていない事件で死刑にしろとか、法律上不可能なことを平気で口にするあたりは、
さしずめ法による支配がされていない原住民族と思想は変わらない。

虐待による死亡事件に対して殆どのケースで殺人罪が適用されないのは、
その虐待行為について殺意を認定することが極めて難しいからだ。
虐待行為が日常的に行われているなら尚更殺意の認定は難しい。
一方で傷害罪の保護法益は人の生命身体だが、
保護責任者が要保護者に対して虐待して死傷させる行為は傷害罪による保護法益を超えている。
特に守られなければならない要保護者に対してそれを守る責任がある保護責任者による虐待は特に厳しく処罰する必要がある。
だからこそ殺人罪では処理できない虐待事件について適用するための「保護責任者虐待致死傷罪」を新設する必要があるんだよ。
この事件では死刑は選択不可能なことを知った上で、今後の教訓として刑法の改正を検討することの方が、
余程彼女の死に報いることが出来る。