一時保護は子供にとって安心できるのか?

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/50734
抜粋
大人になった彼・彼女らとお酒を飲みながら話していると、この一時保護期間ほど辛いものはなかったと多くの人が口を揃えました。

こういった話を聞いて、私はどうしても中に入って実情を知りたいと思うようになりました。
普通では中に入ることができない児童相談所や一時保護所に、様々な経路からお願いをして入れてもらいました。
結果として、全国10ヵ所の児童相談所を訪問し、2ヵ所の一時保護所に実習生扱いで泊めていただきました。
まず子どもたちが嫌だと言っていた抑圧的な一時保護所の話をしたうえで、そうでもない保護所もあるということをお話していきたいと思います。

X一時保護所の一日
2階建てのほぼ正方形の建物で、30歩で隅から隅まで歩くことができます。
寝坊は許されません。7時5分にもなると全ての子どもが布団をたたんで寝室から出てきました。
私が寝泊まりをさせていただいたいくつかの児童養護施設とは大違いの、ものすごいスピードです。
一時保護所での生活は、この異常に細分化された規律とそれをきちんと守る子どもたちによって特徴付けられていました。
多くの一時保護所では窓が5cm程度までしか開きません。
なぜそうしているのかと多くの一時保護所で質問をしましたが、答えは常に同じです。
「子どもたちが脱走しないためです」

また、ここでは子どもたちは裸足でも靴でもなく靴下をはいて過ごさないといけませんが、職員はなぜか全員スニーカーを履いています。
なぜかと聞いたら、ある職員からは「ああ、あれは子どもが逃げ出しにくいようにしつつ、仮に逃げ出したときも捕まえやすいからですよ」という答えが返ってきました。

テレビは自分たちでつけることが許されません。必ず職員に「テレビをつけてください」とお願いをしないといけません。
この、子どもたちが事あるごとに「お伺い」をするのもここでの生活の特徴です。
小学校低学年の子どもたちが年上の子どもたちの部屋に行こうとするときには、職員に「入ります」と言わないといけません。
トイレに行く時には「トイレに行ってきていいですか」と職員に言わないといけません。
性の問題を防止するため、トイレには一人ずつしか行けないため、場合によっては職員が「他の子が入っているので待つように」と静止します。

この時間から子どもたちは風呂に入ります。
男女はもとより、同性どうしでもいたずらをするような事が起きて以来(性器をなめさせる、など)、お風呂は全ての子どもが一人で入るようになりました。

自由時間に使われる紙の枚数も厳格に管理されています。
というのも、紙を使って子どもたちが自分の個人情報(自宅の電話番号やメールアドレス、通っている学校など)を他の子どもに明かす可能性があるからです。
紙には通し番号が振られており、子どもが遊び終わったら紙を返却します。
それを職員が数えて全てそろっているかを確認します。
個人情報を明かすのが厳しく禁止されているのは、「その子どもの素性が知れてしまい、さらに出所後にトラブルに巻き込まれるのを防ぐため」だそうですが

■格差が激しい一時保護所
ここまで読まれると、一時保護所はとんでもないところだという思いを抱かれるかもしれません。実際、私が最初に住込みをしたのはこの都心の一時保護所だったので、これは確かにひどいという考えを抱くようになりました。
しかし、全国を回り、様々な一時保護所を訪問し住み込みをさせて頂くうちに、全く違う場所もあることが分かってきました。
良い一時保護所とそうでない一時保護所には、概ね次のような違いがあるように私は感じました。
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以下略