ロシア当局はウェブサイトの「ブラックリスト」を作成してロシア国民のサイト閲覧を制限したり、Googleに対して「検索結果から『ブラックリスト』掲載サイトを削除しろ」と要請したりするなど、インターネットに対する規制を強めています。そんなロシアでは、「国内のインターネットを国外から切り離す」実験が行われる予定だと報じられました。

Атака изнутри: операторы протестируют закон об устойчивости Рунета :: Технологии и медиа :: РБК
https://www.rbc.ru/technology_and_media/08/02/2019/5c5c51069a7947bef4503927

Russia to disconnect from the internet as part of a planned test | ZDNet
https://www.zdnet.com/article/russia-to-disconnect-from-the-internet-as-part-of-a-planned-test/

2018年12月にロシア連邦議会へ提出された「Digital Economy National Program」と呼ばれる法案では、「ロシアのインターネットサービスプロバイダ(ISP)は、外国からサイバー攻撃を受けてロシアのインターネットが国外から切り離された際に対応できるように、ロシアのインターネット空間の独立性を確保するべきだ」と主張されていました。この法案に対するフィードバックと修正事項を得るために、ロシアでは国内インターネットを世界から切り離す実験が行われる予定だとのこと。

さらに、ロシアの通信企業はロシア国内のインターネットトラフィックをリルートして、ロシア連邦通信・情報技術・マスコミ監督庁(ロスコムナゾール)によって承認されたチェックポイントを経由する技術的手段を導入するように要請されているそうです。ロスコムナゾールは国内トラフィックを検閲して禁止されているコンテンツをブロックし、ロシア国内のユーザー間通信が国外にルーティングされないようにして、外国企業や機関による通信傍受を防ごうとしているとされています。

テストの日付は明らかにされていませんが、法案の改正案の提出期限となっている2019年4月1日を前に行われるとみられています。インターネット切断テストは、2019年1月末に行われたサイバーセキュリティに関するワーキンググループのセッションで合意されたそうです。

全てのISPは法案の最終的なゴールについて賛同したものの、技術的な実装については同意しなかったと報じられており、テストはロシア国内のインターネットトラフィックに大きな混乱をもたらすとみられています。切断テストはISPに対し、ロシアのインターネットユーザーが有事の際にどのように反応するのかといったデータも提供することになります。

また、ロシアのニュースメディアであるFinanz.ruは、テストによって切断されるのは国外とのインターネット接続だけでなく、電子メールサービスのMail.ruや検索エンジンのYandexといったサービスも含まれると報じました。

ロシア政府は長年にわたってインターネットのローカル化について取り組んでおり、2017年には「2020年までに全インターネットトラフィックの95%を国内にルーティングする」という展望を述べていました。それに向けてDNSのローカルバックアップを作成し、2014年と2018年にはテストも行っているとのこと。

今回の法案はプーチン大統領の支持を受けたものであり、ほぼ間違いなく可決される見込みです。進行中の議論は適切な技術的手段を開発することに焦点が当てられており、ロスコムナゾールの設置したポイントへのリダイレクトに必要なISPの作業やサーバー設置コストについては、ロシア政府が負担することに同意しています。

https://gigazine.net/news/20190212-russia-disconnect-internet-test/