車に乗っている時に、窓の外に牛丼屋の前でボロボロになっている服を着て、
1人で立ち止まってる男性が見えた。財布の中身をチェックしてから諦めたように
カートを転がして行ってしまった。
その時、お金を握りしめて車から降りようと思った。
でもできなかった。
やらなかった。
もう父とは無関係なのだ。
粉飾決算で会社も家族も失った人にかける言葉はないのだ。
そう心に言い聞かせてその場を速足で後にした。