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小野藩主一柳末徳の三女と米国人夫の歩みたどる 小野で企画展
2019/02/17 05:30

 小野藩最後の藩主一柳末徳の三女で、アメリカ人建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズと結婚した満喜子(1884〜1969年)の没後50年を機とする企画展「一柳(ヴォーリズ)満喜子の遺したもの」が16日、兵庫県小野市西本町の市立好古館で始まった。写真や手紙など約40点から、満喜子の生い立ちをはじめ、各方面で活躍した兄弟姉妹の業績、ヴォーリズとの歩みを紹介している。(長嶺麻子)

 同館では末徳や満喜子に関する展示を手掛けてきたが、このほど、末徳が小野藩の旧藩士に宛てた私信から、子女の進学や就職、留学など詳細につづった文書が多く見つかったことから、満喜子の兄弟姉妹の生涯も焦点を当てた。

 末徳は綾部藩主九鬼隆都の第5子として生まれ、一柳家の養嗣子に。廃藩置県後に東京へ移って英学を学び、貴族院議員を4期務めた。男女の区別なく子どもたちに高等教育と海外留学を薦め、自由平等を尊重した人物として伝わる。

 末徳の私信からは、通訳としてヴォーリズと知り合って国際結婚し、滋賀県で教育に尽力した満喜子だけでなく、長女千嘉子、長男譲二も渡米した様子が分かる。譲二は和英辞典や渡航指南書も出版している。

 東京帝国大出身の次男恵三は、広岡浅子の娘と結婚して大同生命社長まで務め、一柳家を継いだ三男剛は幼少期、後の大正天皇の学友で、自宅が全焼した際、皇太子殿下から制服などが贈られたほど。その現物も今回、展示している。

 4月7日まで。月曜休み。午前9時半〜午後5時。入館料高校生以上200円、小中学生100円。2月23日と3月24日の午後1時半から、学芸員による展示説明会がある。

ヴォーリズと満喜子の結婚式の写真などが並ぶ=小野市立好古館
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一柳家の家族写真。前列中央が末徳、前列右が満喜子=小野市立好古館
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