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【中国ウォッチ】反トランプの急先鋒ウォーレン氏を中国に招いたが、人権問題にまで言及

 「ついに『本命』が登場した。彼女がもしも来年11月に勝利したなら、中米関係はいま以上に厳しいものになるかもしれない。われわれは注意深く、彼女の今後の言動を見守っていく」

 こう述べるのは、中国の外交関係者だ。

 中国は先週2月10日まで、計一週間に及ぶ春節休みだった。そんな「太平の眠り」を覚ますようなニュースが、太平洋の向こうから届いた。

 9日、民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員(69歳)が、地元マサチューセッツ州ローレンスで集会を開き、来年11月の大統領選挙への出馬を正式に表明したのである。

 1949年6月にオクラホマ州の貧困家庭に生まれたウォーレン氏は、スピーチ・コンテストに優勝して得た奨学金で、ジョージ・ワシントン大学に入学。だが結婚のため、2年で中退し、NASAのエンジニアだった夫についてヒューストンに移り、ヒューストン大学を卒業した。

 その後、二人の子供を生んで弁護士資格を取るが、離婚。現在の夫と再婚し、1983年にテキサス大学法学部教授となった。その後、ペンシルバニア大学教授を経て、1995年にハーバード大学教授(破産法・商法)に就任した。

 2006年からは、連邦預金公社の諮問委員会メンバーとなり、2010年9月にオバマ大統領の補佐官としてホワイトハウス入りした。2012年11月には、マサチューセッツ州から上院議員選挙に出馬し、現職の共和党議員を破って当選した。当選後は「庶民の代表者」を標榜し、大企業を批判。上院銀行委員会で、「ウォール街が最も恐れる議員」として知られた。

 そんな彼女は今回、オバマ大統領が退任して2年あまりを経て、「オバマ大統領の正当な後継者」として、最高権力者を目指す名乗りを上げたのである。もし勝利したなら、アメリカで初の女性大統領の誕生となる。

 「出馬宣言」を行った2月9日、44分にわたったスピーチでは、主にトランプ大統領への批判に終始した。「トランプ大統領は醜い富裕層の権化であり、アメリカを傾かせている張本人だ」といった主張である。その上で、「自分は企業のロビー団体から献金を一切受け取らずに大統領になる」と宣言したのだった。

 民主党の女性大統領候補と言えば、ヒラリー・クリントン元上院議員が思い浮かぶ。だが、ウォール街や大企業を敵に回しているという点では、むしろ3年前に旋風を巻き起こしたサンダース候補に近い。

 中国の外交関係者が続ける。

 「われわれはウォーレン上院議員を、昨年3月30日から4月1日まで、北京に招待した。ちょうど昨年3月22日に、トランプ大統領が対中貿易戦争を『宣戦布告』した直後で、トランプ批判の急先鋒であるウォーレン議員に、北京で派手にトランプ批判をぶってもらおうとしたのだ。それで、アメリカとの貿易交渉の責任者である劉鶴副首相や、外交政策の責任者である楊潔チ中央政治局委員(前外相)らに引き合わせた。

 ところが、あろうことかウォーレン議員は、貿易戦争に関しては、トランプ大統領と言うことがほぼ一致。さらに、トランプ大統領がほとんど口にしない中国の人権問題まで、激しく批判してきたのだ」

 この時、ウォーレン上院議員が北京で、アメリカ・メディアの記者たちを集めて行った中国批判は、北京の外交筋の間では、語り草になっている。

 それまで中国政府は、以下のような解釈をしていた。2016年11月のアメリカ大統領選挙で、トランプ候補が予想外の勝利を収めた。中国政府としては、「最強の対中強硬派」と恐れていたヒラリー・クリントン候補が敗れ去ったことで、安堵した。そして、政治経験のない「商人大統領」に期待をかけた。

 トランプ大統領の初年度は、習近平主席と米中首脳会談を3度行い、比較的良好な関係を維持した。特に、2017年11月にトランプ大統領が北京を訪問した時、中国は2535億ドルもの「ビッグ・プレゼント」(アメリカ製品の購入など)を与え、「商人大統領」を満足させた。

 ところが、2018年になると、アメリカ国内で、ペンス副大統領やボルトン大統領補佐官(同年4月に就任)、ナバロ国家通商会議(NTC)委員長ら対中強硬派が台頭。彼らに促されるように、トランプ大統領は対中貿易戦争を「宣戦布告」した。

 そこで中国は、2020年の「トランプ再選」を、にわかに警戒し始めた。共和党が「トランプ再選」を目指すのなら、民主党からは強烈な対抗馬が出てきてほしい。

(続きはソース)

2/18(月) 14:03配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190218-00010003-socra-int