オーストラリアに対する2018年度(17年7月〜18年6月)の海外投資額で、米国が365億豪ドル(約2兆8,706億円)となり、中国を追い抜き13年ぶりに1位となったことが、オーストラリア外資審議委員会(FIRB)の報告書で明らかになった。製造や電力・ガス部門への投資が伸び、前年度比で38%増加した。一方中国は、237億豪ドルとなり前年度比で39%減少。不動産への需要の低迷と、中国当局が資本流出規制を強化していることが影響したとみられている。19日付オーストラリアンが伝えた。

FIRBの報告書によると、中国からの投資額は全ての部門で低下したという。投資額がピークに達したのは16年度で、473億豪ドルだった。

また、海外不動産向けウェブサイトJuwai.comのロウ代表は、中国の今年度の不動産投資は127億豪ドルとなり、前年度比で17%減少したと説明。FIRBによれば、オーストラリア全体でみても国内の居住用不動産に対する海外からの投資需要が低下しているといい、同年度に承認された海外投資額は前年比60%減の125億豪ドルまで落ち込んだという。不動産部門は海外投資が2番目に多い部門で、投資総額の32%を占めている。1位はサービス部門で、シェアは39%。

ロウ代表は「中国の不動産投資が落ち込んだ背景として、オーストラリアの銀行による突発的な住宅融資のキャンセル、印紙税の上昇、また中国当局による資本規制の3つが挙げられる」としている。

FIRBのアーバイン会長は「海外投資案件については、国益に関するあらゆる側面から徹底的に審査し、投資家に対し早期ガイダンスを提供するよう注力している」と説明。また、「中国からの投資案件は減少しているものの、海外からのオーストラリア市場への関心は依然として高い」との見方を示した。

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