大川裁判長は主要な事実レベルの争点を「事件性」の有無であると整理。
さらに、実質的な争点を(1)被害を訴える女性患者A氏の発言の信用性、外在的な補助事実に関する争点として、被害を訴える女性患者A氏の術後せん妄の有無および程度、
(2)DNA型鑑定およびアミラーゼ鑑定の信用性――と整理していた。

 判決では最初にA氏の発言の信用性を検討。A氏の訴える被害について、信用する方向の検討では「具体的、迫真性に富んでいる」とし、一貫性があり矛盾がないと整理した。
疑問の方向では、男性外科医に右乳首を舐められ右手でぬぐうと唾液がべっとり付いたと証言したが、事件直後の警察官の聴取では触れていないことなどをいささか疑問があるとした。
また、男性外科医が自慰行為をしていたという証言については、「射精に至ればおおよそ説明ができず、かなり異常な状況である」としつつ、決定的に否定するものではないと述べた。

 手術を担当した前立ち医師や麻酔科医、看護師らの証言についてはほぼ採用し、これらの証言を基に、頻回なナースコールや検温時に看護師に対して「ふざけるな、ぶっ殺すぞ」などと述べたことを事実認定した。
検察側は病院関係者による口裏合わせの可能性を指摘していたが、「臆測にすぎない」と一蹴した。