https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/660332/

検察側証人の元科捜研研究員で、ノーステキサス大学ヘルスサイエンスセンター個人識別研究所研究員の高橋麻衣子氏は、

(1)付着物のアミラーゼ活性が高いこと(2)1人分のDNAが検出されたこと
(3)DNAの量が多いこと――から、男性外科医が左乳首を舐めたと主張している。

 大川裁判長は弁護側の検証実験の結果などから、
手術台での医師同士の会話による飛沫や触診により付着した汗などの体液による可能性あることを排斥できないとした。
また、「2人のDNAが混在していると量の比率が100対1では1人分のDNAしか検出されない」とする高橋氏の証言について、
弁護側検証実験を担当した東邦大学医学部法医学教授の黒崎久仁彦氏の証言をもとに、そうでない場合を否定できないとした。

 以上を踏まえ、「鑑定には一定の疑義があり、仮に信用性があると仮定しても、その証明力は十分なものとは言えない」と結論付けた。

 最後に、せん妄とDNAが検出されることが同時に発生することについて、「二重の不運が襲ったとも言える」とし、これまでの整理から「可能性は低いとは言えない」と付言した。

 また、「事件当日は身支度後に手を洗っていない」とした男性外科医の証言については、「医療従事者の行為としてにわかには信じがたい証言」としつつも、それによって全体の信用性がなくなるものではないと述べた。