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2005年11月24日 東京新聞
源平富士川の合戦でもあるまいに、鳥の羽音に驚くような、最近の
鳥インフルエンザ騒ぎを苦々しく思っていた。そこへ今回のタミフル騒動だ。
パソコンまでが「民降る」と誤変換するほどの情報パニックから、そろそろ
醒(さ)めてはどうか。
今回の騒ぎは、米食品医薬品局(FDA)が副作用で死亡した十六歳
以下の服用者十二人は全員が日本人だったと発表したのがきっかけ。
本紙特報面によれば、スイス・ロシュ社の調査で、過去五年間にタミフル
の処方を受けた日本人は二千四百万人、世界の77%を占め、子どもへ
の処方量では日本は米国の十三倍だった。
医師も患者も、日本人の薬好きにはあきれるが、タミフルは本来インフル
エンザ発症後の治療薬。それをこんなに大量に“予防内服”に使えば
「免疫力が弱まって耐性タイプの新型ウイルスをつくりかねない。とんでも
ない話だ」と専門家も指摘している。
厚生労働省はタミフルの備蓄目標を従来の一・七倍、二千五百万人分
に増やしたが、世界各国が必要とする時にこの大量消費は国際批判を
招きかねない。
だいたい日本ではまだ人への感染が確認されていないのに、そんなに
怯(おび)える必要があるのか。普通の風邪なら、栄養と睡眠をとって
休めば済むのに、高価なインフルエンザ専門薬を予防服用する必要は
なかろう。
かねて風邪気味のときは、ニンニクをこってり利かせた焼き肉を食べる
に限ると教わり、以来、風邪対策の特効薬代わりにしてきた。キムチは
最近、寄生虫卵騒ぎで不評だが、なあに、かえって免疫力がつく。