2019年2月21日 18時0分
http://news.livedoor.com/article/detail/16055114/

1992年の話題をさらったもつ鍋に取って代わり、翌93年の初夏、猛烈な勢いで全国を席巻したのが「食べ放題」だ。バブルを引きずっていたもつ鍋とは違い、
「安い値段で腹いっぱい食べたい」という欲望むきだしの世紀末現象。これが終わりの見えない不況と相まって、長く続いた。

■「安かろう悪かろう」じゃダメ

食べ放題という業態は、1985年頃から関西を中心に広がった。それ以前は「バイキング」(※1)や「ビュッフェ」(※2)と呼ばれていた。カタカナだとなぜか気取った雰囲気だが、
実際、バイキングもビュッフェもホテルのレストランが中心で、“好きな料理を好きなだけ食べられる自由さ”に比重が置かれていた。

ところが、そのものズバリの「食べ放題」になった瞬間、自制心が吹き飛んだ。

そもそも、日本には大食いや大酒をエンターテインメントとして楽しむ文化(※3)がある。江戸の町人文化が爛熟を迎えた文政期(1804〜1830年)には、大喰会や酒合戦(※4)が流行した。



時は過ぎ、平成の食べ放題でもっぱら追求されたのは「得した気分」だ。不況で社用族が激減。財布のひもを締めた客に、飲食店が生き残りの切り札としてぶつけたのが定額制の食べ放題方式である。たいていの店が時間制限を設けた。

バブルを体験し舌が肥えてしまった人々に、「安かろう悪かろう」は通用しない。初期の食べ放題は、高級料理の価格破壊が特徴だ。

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