2019年2月26日 10:29

東京都渋谷区の児童養護施設「若草寮」で施設長の大森信也さん(46)が殺害された事件で、凶器の刃物から柄が取れていたことが26日、警視庁への取材で分かった。刺した衝撃で外れたとみられる。刃物は文化包丁のような形で刃体は十数センチで、大森さんの胸に刺さったままだった。腹部などにも複数の刺し傷があり、同庁は強い殺意があったとみている。

同庁によると、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された住所不定、職業不詳の田原仁容疑者(22)は、同庁に「施設に対して恨みがあり、関係者なら誰でもよかった」と供述している。同容疑者は2012年3月から15年3月まで同施設で暮らしており、大森さんについては「面識があった」と話しているという。

大森さんは発見時に刃物が刺さった状態で血を流して座り込んでいた。施設の2〜3階には入所する6〜18歳の子供約30人の部屋があるが、同容疑者は立ち入っておらず、子供にけがはなかった。

田原容疑者は「(事件前の)2〜3週間はネットカフェで寝泊まりしていた」という趣旨の話をしているという。同庁は田原容疑者が施設に恨みを持った経緯などを調べている。

東京都は若草寮を運営する社会福祉法人について問題は把握していないとしている。現場は京王新線幡ケ谷駅から北に約300メートルの住宅街。
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO41745320W9A220C1CC0000