毎日新聞 2019年2月27日 08時29分(最終更新 2月27日 08時29分)
https://mainichi.jp/articles/20190227/k00/00m/040/027000c

 埼玉県熊谷市で2009年9月に小学4年の小関孝徳さん(当時10歳)が車にひき逃げされて死亡した事件は、
未解決のまま時効が今年9月に迫っている。
母親(51)は今年1月、事件解決に向けて情報提供を呼びかけるブログを開設し「何があったのか真実を知りたい」と願う。

 事件は09年9月30日午後6時50分ごろ、熊谷市本石1の市道で発生。
孝徳さんは書道教室から自転車で帰宅途中、車にひき逃げされ死亡した。
県警は道交法違反(ひき逃げ)と自動車運転処罰法違反(過失致死)の容疑で捜査しているが、
ひき逃げは16年9月に時効を迎え、過失致死の時効も今年9月に迫る。
今年に入り、県警が証拠品として保管していた孝徳さんの腕時計を紛失し、
事件を担当した元警部補=18年3月に定年退職=が押収品目録交付書を破棄した問題も明らかになった。

 母親はひき逃げの時効後、勘違いした知人から「事件は時効でしょう」と言われ、ショックを受けた。
「未解決であることを知ってもらいたい」と、月命日の今年1月30日、情報提供を呼びかけるためのブログを開設し、孝徳さんとの思い出や写真とともに、事件への思いをつづる。
2月1日付のブログには「救急車が来るまで… 息子は路上で置き去りにされたままだった…。10歳の命…。
止まって救護して欲しかった… どんな人だかわからない犯人… 真実を聞くまでは、諦めない」と記した。

 孝徳さんはしっかりした優しい子だったという。父親が病死し2人きりの家庭で、会社勤めで忙しい母親は、ゴミ出しや食器洗いを頼むこともあった。
孝徳さんは「もう」とむくれながらも、わがままを言わずに手伝ってくれた。

 支え合って生きてきた大切な息子を奪われ、これまでも犯人についての情報や目撃証言につなげようと、事件現場を通行する車のナンバーの書き取りやチラシ配りなどを行ってきた。
現在も命日の9月30日には孝徳さんが所属していたサッカーチームの保護者の協力を得ながら続けており、書き取った車両の台数は延べ約9万台になる。

 新しく始めたブログが、いつか犯人の目に留まると信じている。
笑顔の孝徳さんの写真を見て、孝徳さんに事件までの人生があったこと、その先の人生もあるはずだったことを分かってほしいと思っている。

 ブログは「《未解決》 熊谷市死亡ひき逃げ事故 《時効まであとわずか》」(https://blogs.yahoo.co.jp/awquu69587)。

◇ 情報提供を呼びかけるためブログを始めた小関孝徳さんの母=埼玉県熊谷市の自宅で2019年2月8日、中川友希撮影
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