【AFP=時事】アイルランドの首都ダブリンにある聖ミッチャン教会(St Michan's Church)の地下室が墓荒らしに遭い、「十字軍戦士(Crusader)」の呼び名で知られる800年前のミイラの頭部が盗まれた。同教会のデービッド・ピアポイント(David Pierpoint)大執事が26日、AFPに明らかにした。

 ピアポイント大執事は、ミイラの頭部は外気に触れるとすぐに腐敗しかねないと警告し、直ちに返却するよう犯人に呼び掛けた。同氏によれば、墓荒らしたちは、「骨と皮」になった400年前の修道女の遺体も損壊したという。

 同氏は、25日にツアーガイドから知らせを受けて地下室に向かい、「長らく見たことのないおぞましい光景」を目にしたと説明。「筆舌に尽くし難い凶悪行為というものがあるが、不幸にも私はそれを目の当たりにしてしまった」と述べ、盗難は「教区や市にとって大きな損失であり、国にとっても大きな損失だ」とした。

 マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)ダブリン大主教は「この古い墓所を狙い、安置された遺体を冒涜(ぼうとく)する者がいることに、衝撃を受けている」と述べ、犯人らに対し「悔い改め、十字軍戦士の頭部をあるべき場所に戻す」よう求めた。

「十字軍戦士」はエルサレム攻略を目指す十字軍の遠征で死亡した男性のミイラとみられることから、この呼び名がついた。身長が高く、脚が折り畳んでひつぎに収められ、聖ミッチャン教会に安置されていた。

 聖ミッチャン教会は1095年に創建された。過去には、作曲家ヘンデル(Handel)が「メサイア(Messiah)の発表以前にオルガン奏者を務めていたことがある。

 同教会は年間2万8000人が訪れるダブリン中心部の人気観光地でもある。地下室に収められた数十体のミイラも呼び物となっており、一部はひつぎを開いた状態で置かれている。

 警察は、犯行の時間帯は23日から24日までの夜間だとした上で、周辺の監視カメラの映像を調べていると説明した。

 ピアポイント氏は、警察は現場でバールを発見したと述べ、「計画的な侵入」だったとの見方を示している。

【翻訳編集】AFPBB News
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