2020年東京五輪の開会式で、アイヌ民族の文化を披露しようという動きが進んでいる。長年、差別や迫害に苦しんできたアイヌ民族だが「五輪で文化や伝統を世界にアピールしたい」と関係者は期待する。

【写真】伝統的な踊りを披露するアイヌの人たち=2019年3月2日午後4時42分、北海道白老町、豊間根功智撮影

 2日、北海道白老町の公民館で、約30人のアイヌ民族が伝統衣装をまとい、踊った。「剣の舞」や「黒髪の舞」など七つの踊りを約30分間で表現した。

 北海道アイヌ協会が主体となって3年ほど前から、東京五輪でアイヌ文化を発信しようと議論を始めた。アイヌの踊りは地域で異なり、民族を一堂に集めるのも難しい。各地で踊りを指導するサブリーダーを30人ほど決め、月に一度、練習を重ねてきた。

 リオデジャネイロやシドニー、バンクーバーなど過去の五輪では先住民が開会式に登場した。「アイヌの精神は世界に平和を訴えること。『オリパラ』の精神にかなっている」と、演出を担当するアイヌ民族の秋辺日出男さん(57)は言う。五輪・パラリンピックの開閉会式の演出を総合統括する野村萬斎さんにも手紙を送り、採用を依頼したという。「アイヌの人たちに、『前に出て』と呼びかけたい」

朝日新聞社 3/3(日) 0:35
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