愛媛県新居浜市は4日、市の観光施設「マイントピア別子」で3日午後、新造されたばかりの観光鉱山列車「別子1号」(6両編成)が脱線する事故が起きたと発表した。乗っていた観光客9人のうち、60歳代ぐらいの男女2人が腰の痛みを訴えたが、ほかにけが人はいないという。マイントピアは当面、列車の運行を見合わせて事故原因を調べる。

 市の説明によると、列車は3日午後3時頃、大人7人と子ども2人の計9人を乗せて「端出場はでば駅」を出発。約400メートル先の観光坑道入り口にある「打除うちよけ駅」を目指していたが、途中で緩い右カーブに差しかかった際に5両目の客車の前輪が脱線した。事故当時、列車は時速約5キロで走行中で、脱線により自動制御装置が作動して緊急停止した。

 記者会見したマイントピア社長の石川勝行市長は「ご迷惑をかけ、誠に申し訳ない。一日も早く原因を究明し、安全対策を講じたい」と頭を下げた。

 列車は市内観光の目玉として1日に運行を始めたばかりで、製造に携わった関係者らはショックを隠せない。市内の中小製造業38社が加わったプロジェクトで実行委員長を務めた鉄工所役員続木永典さん(48)は「試運転や事前検査は過剰といわれるほど実施したのに……。なぜこんな事態になったのかわからない」と言葉を失っていた。マイントピアの神野智昭・営業本部長は「脱線車両を見たとき、尽力してきてくれた一人一人の顔が頭に浮かび、涙が出そうだった。観光客には申し訳ない気持ちでいっぱい」と肩を落とした。

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