千葉県袖ケ浦市にあるテーマパーク「東京ドイツ村」が好調だ。5年連続で入場者数が100万人を突破。
とくに2018年度(18年2月〜19年1月)は、過去最速で達成したという。
オープン当初は赤字だった東京ドイツ村が、なぜ近年人気を集めているのか。東京ドイツ村の広報担当者に聞いた。

■イルミネーションを機に黒字化

 東京ドイツ村は、2001年3月8日に開園。
ドイツの田園風景を再現した自然体験型のテーマパークで、広さは、東京ドーム19個分に相当する。
園内には観覧車を始め、アトラクションやパターゴルフができる施設を建設。
羊やヤギ、モルモットなどの動物と触れ合うことができる「こども動物園」も併設した。
また春先は芝桜やポピー、夏場はひまわり、秋はコキアと、四季折々の花々が楽しめるのも特徴だ。

 東京ドイツ村という名前の由来について、担当者はこう語る。
「オーナーがドイツに行ったとき、田園を見て感動しまして。袖ケ浦の丘陵地と田園が似ていたこともあり、ドイツの田園を再現したテーマパークをつくりました。
1997年には東京湾アクアラインも開通。首都圏から近くなったということで、施設名に“東京”とつけました」(担当者)

 しかし開園当初から順風満帆だったわけではない。開園から5〜6年は、集客につながるイベントなど打ち出せず、赤字だったという。
転機となったのは、2006年から始めたイルミネーションだ。きっかけについて、担当者は「三重県の観光施設『なばなの里』の成功事例を見て始めました」と話す。

 なばなの里は、花と食のテーマパークとして1998年にオープンしたが、冬季は入場者数が減少していた。
そこで2004年から数年かけて、敷地内全体にイルミネーションを装飾。
現在では、周辺の「ナガシマリゾート」と合わせて、年間入場者数1500万人を超えるテーマパークへと成長した。

 そこで東京ドイツ村も大規模なイルミネーションに着手。徐々に入場者数を伸ばし、2009年に初めて黒字化したという。
「ドイツの記者が取材に来た時に、『ドイツではイルミネーションはしない』と文句を言われましたが…(笑)。日本のお客様には好評を得ていますね」(担当者)

■カオスさが逆に好評!?

 2012年には「関東三大イルミネーション」に指定されるなど、“東京ドイツ村と言えばイルミネーション”といったイメージが浸透しつつある中、
現在開催されている『チャイナランタンフェスティバル』がネット上で話題となっている。
『チャイナランタンフェスティバル』は、日中平和友好条約締結40周年を記念し計画されたイベントだ。
約5万平方メートルの敷地に、赤や黄などのLEDライトを使って、41作品のランタンを設置。
パンダや霊獣を始め、中国の世界遺産「万里の長城」など、色鮮やかなチャイナランタンの世界を楽しむことができるという。

 とくにネット上では、イルミネーションのショーの一環でDA PUMPの「U.S.A」が使用されていると話題に。
「東京なのか、千葉なのか、ドイツなのか、アメリカなのかハッキリしてほしい!」、
「とっちらかりすぎて面白い」、「千葉にある東京ドイツ村でチャイナランタンフェスティバルですと!? このカオスさ好き」といった声が上がっている。
こういった意見について、担当者は「さまざまな国が入り混じっていますが、ドイツだけでなく、中国も米国も、好きになってくださるお客様が増えると思う」と語る。

■イルミネーションに頼らない集客も

 担当者によると、近年東京ドイツ村の入場者は、千葉県内や県外だけでなく、訪日外国人も多いという。とくに増加しているのは、中国やタイからの観光客だ。

 またイルミネーションに頼らない集客も、試みている。例えば、2018年夏にはビアガーデンを初開催した。
東京ドイツ村は車での来訪が多いため、飲酒運転への懸念からこれまで開催を断念していた。
だが2017年まで行っていた打ち上げ花火を取りやめたため、新たな挑戦として始めたという。
「ドイツ産の生ビールを4種類そろえました。ソーセージと一緒に味わってもらえたかなと思います。
ノンアルコールビールの提供も行ったので、運転される方も安心して楽しんでもらえていました」(担当者)

 3月8日で、オープンから17年目になる東京ドイツ村。
担当者は「今年は数年ぶりに、ユリの花を植えるので、6〜7月頃見ごろになると思います。ぜひ遊びに来てください」と語っている。