【ゴーン事件】元外務省の鬼子、佐藤優 クーリエジャポンで日本の「人質司法」とゴーン事件について語る

https://courrier.jp/columns/154984/

4min2019.3.12
佐藤優の新・教養講座 『知』へのショートカット
カルロス・ゴーン氏の保釈で考える日本の「人質司法」

検察が組織内の権力闘争に利用される

2月6日、日産自動車元会長のカルロス・ゴーン氏(64)が東京・小菅の東京拘置所から保釈された。2018年11月19日に逮捕されてから勾留日数108日に及んだ。
ゴーン元会長は6日午後4時半ごろ、作業着のような服装に帽子、眼鏡、マスク姿で拘置所玄関に現れた。周囲を係官に囲まれながらしっかりした足取りで歩き、駐車していた軽自動車に乗り込んで拘置所を後にした。

(3月6日「日本経済新聞」電子版)
日本の刑事事件では、被告人が否認していると、長期間勾留されるというのが常識だ。2002年に逮捕された鈴木宗男衆議院議員(当時)は437日、この事件に連座して逮捕された筆者は512日、東京拘置所の独房に勾留された。

罪証隠滅と逃亡の虞があるというのが、長期勾留の理由だった。しかし、検察庁は既に関係の証拠物を押収しているし、保釈に際しては、裁判で証人になる可能性のある人との接触が禁止される。筆者は、逃亡するつもりも罪証を隠滅する意思も全くなかった。

しかし、検察庁も裁判所も聞く耳を持たなかった。自白して罪を認めない限り、被告人を保釈すれば、罪証を隠滅し、逃亡するに決まっているという偏見を検察庁も裁判所ももっていたとしか思えない。

ちなみに日本の刑事裁判では、起訴されると99.9%が有罪になる。現実的に考えるならば無罪を取ることはできないのだから、やっていない罪であっても自白して、早く裁判を終わらせてしまいたいという気持ちに被告人は傾く。日本では「人質司法」が行われているというのが現実だ。

保釈に際しては、条件がつく。筆者の場合、指定された住所から48時間以上離れるときは裁判所に事前に届け出ることと、数十人の人との面会や電話、手紙などでの接触が禁止された。保釈金は600万円だった。
(リンク先に続きあり)