昨年4月からスタートした「日本酒学」を新たな学問領域に育成するため、学術団体「日本酒学研究会」が8日、発足した。産学官が連携して設立した新潟大学日本酒学センター教員と全国各地の大学に属する有志20人が発起人。従来の醸造学や発酵学だけでなく、人文や社会、理工、医歯学などさまざまな側面からの研究を統合し、オールジャパンで世界的な学問への発展を目指す。

同研究会は、設立総会を朱鷺メッセ新潟コンベンションセンターで開催。会長に就任した後藤奈美酒類総合研究所理事長はあいさつで、「母体となる日本酒学ができてから1年で研究会が発足し、スピード感をあらためて感じた」という。

自らも日本酒学の教壇に立ち「学生を見てこんなにも知的好奇心をくすぐるのか」と実感。同研究会発足で、さまざまな研究成果を通じて「日本酒の魅力や奥深さを新しい世代の人や海外へ伝えていける」と期待を込める。

日本酒学は学問として始まったばかりで確固とした体系を確立していないことから、同研究会が主体となって学問として育てていく。今後は、日本酒に関する実務家を含め幅広く会員を募り、研究会や講演会、論文集の刊行などの活動を行う。

昨年秋には、先行して日本酒の酒造を地理学的に研究したフランス人研究者の講演会を開催。設立総会当日は、「酒と菓子の優劣争い『酒餅論』と江戸の酒-擬人化される酒をめぐって」と題して、名古屋大学大学院の畑有紀研究員が文学研究からみた日本酒のあり方について講演を行った。今後も、こうした幅広い側面から、学問研究・発表を行っていく。

日本食糧新聞社

最終更新: 3/14(木) 13:00
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