毎日新聞 2019年3月16日 09時29分(最終更新 3月16日 09時29分)
 高松琴平電気鉄道(ことでん=高松市)が京浜急行電鉄(東京都)から買い取った1080形2両が製造から60年を迎え、赤いラッピングを施した「還暦の赤い電車」に姿を変えて市内を走っている。インターネットで資金を募るクラウドファンディング(CF)を使って鉄道ファンが費用を集め、当時のデザインを再現。このほど出発式が開かれ、大勢のファンや市民が訪れた。

 車両は88年に京浜急行電鉄から買い取り、琴平線で運行。ことでんは路線ごとに車両を色分けしており、これまで車体は白色と黄色で塗装されていた。

 「赤い電車」の企画は、有志の鉄道ファンでつくる「ことでん貸切乗車団」(佐羽内勇太代表)が昨年春、ことでんに提案。CFで寄付を呼びかけたところ、昨年9〜12月に目標額の1500万円を超す約1600万円が集まった。ラッピングは京浜急行電鉄監修の下で進み、貸切乗車団のメンバーも車両番号の位置などを正確に再現する作業に協力した。車内ではCF支援者の名前も広告のような形式で紹介し、感謝の気持ちを伝えた。

 出発式は6日、仏生山駅(高松市仏生山町)で開催。ことでんの真鍋康正社長は「CFの寄付金を使って車両をラッピングするのは初めて。鉄道ファンにも沿線住民にも楽しんでもらえます」と喜んだ。式後には「赤い電車」が市民らを乗せ、運行を開始した。

 寄付した一人で自治体職員、山崎勝裕さん=神奈川県山北町=は「車両が地元の人に愛され、『ことでん』がより注目を集めるといい」と笑顔を見せた。

 「赤い電車」は約2年間毎日、高松築港駅―琴電琴平駅間の一部ダイヤで運行する。【小川和久】
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