第3 まとめ

1 争点に対する判断のまとめ

以上によれば、第2の2で検討したとおり、Aは麻酔覚醒時のせん妄の影響を受けて
いた可能性があることなどからすれば、その証言の信用性には疑問を差し挟むこと
ができ、第2の3で検討したとおり、本件アミラーゼ鑑定及び本件DNA定量検査も、
信用性に疑義があり、信用性があると仮定してもその証明力は十分なものとはいえ
ないことからすれば、Aの証言の信用性を補強できず、また、それ自体から被告人が
Aの左乳首を舐め、吸った事実を強く推認させるものともいえない。

そうすると、本件公訴事実記載の事件があったとするのには、合理的な疑いを
差し挟む余地がある。