除染土8割「再利用可能」 環境省試算 福島県内には抵抗感

東京電力福島第1原発事故後、政府が福島県内で実施した除染で生じた約1400万立方メートルの土のうち、約80%が現時点で土木工事などに再利用可能とする試算を環境省が19日、有識者検討会に報告した。同県内では再利用への抵抗感が根強く、政府の思惑通り進むかどうかは不透明だ。

福島県内の除染土について、政府は第1原発に隣接した「中間貯蔵施設」で30年間保管後、県外で最終処分する方針。しかし除染土の量は膨大で、環境省は放射性物質が1キロ当たり8000ベクレル以下の土について、道路の盛り土に利用したり、農地の地下深くに埋めたりして処分量を減らす方針を示している。

 環境省によると、昨年10月までに中間貯蔵施設に搬入した除染土約150万立方メートルの放射性物質を測定したところ、約80%が現時点で1キロ当たり8000ベクレル以下だった。今後、時間がたてば放射性物質の濃度はさらに下がり、30年後には99%が8000ベクレル以下になるという。

 環境省は除染土の再利用に向けた実証事業を2017年以降、福島県南相馬市の除染土仮置き場と飯舘村の帰還困難区域で進めている。しかし二本松市の市道や南相馬市の常磐自動車道工事に使う計画は住民の反対で実施の見通しが立っていない。【五十嵐和大】

https://mainichi.jp/articles/20190319/k00/00m/040/264000c
2019年3月19日 22時01分(最終更新 3月20日 00時39分)、毎日新聞