https://jp.reuters.com/article/bv-column-airbus-boeing-idJPKCN1R008W

2019年3月19日 / 04:38 / 21時間前更新
欧州エアバス、737MAX停止でも上昇気流に乗れず
Ed Cropley
[ロンドン 18日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米航空機大手ボーイング(BA.N)は、5カ月間で2度の墜落事故が起きた新小型旅客機「737MAX8」の航空会社への納入が停止する恐れがあり、理屈の上ではボーイングのライバルの欧州航空機大手エアバス(AIR.PA)に追い風が吹きそうだ。

しかし残念ながら、エアバスは、生産ラインが既にフル稼働の状態で、受注も数年分に達しており、敵失に乗じた大幅な増産は見込み難いのが実情だ。

航空機市場で圧倒的なシェアを握るボーイングとエアバスは、常に互いの動きに目を光らせている。その好例がエアバスの新型旅客機「A320neo」を巡る動きだ。座席数200のA320neoは最先端のエンジン2基を搭載し、燃費が15%改善。コストに敏感になっている航空会社がA320neoに飛び付いたことから、ボーイングも中距離用旅客機737に同じエンジンを導入した。こうして誕生した737MAX8は2017年に商業利用が始まり、たちまち最大の売れ筋となった。

ボーイングが4600機の受注を抱える737MAX8で事故が連続した衝撃は、今月10日のエチオピア航空機墜落後にボーイングの株式時価総額が230億ドル吹き飛んだことにも表れている。737MAX8が完全な製造停止にならないとしても、ボーイングにとっての逆風はエアバスにとって追い風だ。格安航空のライアンエアーが135機の購入を予定するなど、航空会社は737に大量の発注をかけており、今回の事故で不安を感じれば、購入先を別のメーカーに切り替えることになるだろう。

しかし、エアバスは株価がエチオピア航空機事故以来、5%以上値上がりしたとはいえ、時価総額の増加分は50億ユーロ弱にとどまっている。航空会社は航空機の購入先を変えれば違約金を支払うことになり、エアバスは魔法のように数百機もの新航空機を製造することはできない。A320neoは受注が3600機に達し、生産ラインはフル稼働している。毎月50機を生産しているが、それでも受注分をこなすのに6年ほどかかる計算だ。
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