被告の女、犯行時は別人格「おっちゃん」が支配

 覚醒剤取締法違反に問われた無職の女(37)の控訴審判決で、大阪高裁(村山浩昭裁判長)は27日、「被告は多重人格で、犯行時は別人格の強い影響下にあり、心神耗弱状態だった」として、1審・大阪地裁の実刑判決を破棄し、執行猶予付き有罪判決を言い渡した。

 多重人格を巡る刑事裁判では、完全責任能力が認定されるケースが大半で、心神耗弱を認めた司法判断は異例だ。

 女は2017年11〜12月に大阪市内の自宅で覚醒剤を所持、使用したとして起訴された。精神鑑定を実施した医師が、被告は当時、「おっちゃん」という別人格に支配されていたと診断した。

 昨年12月の1審判決は、多重人格の影響は限定的だったとして完全責任能力を認定し、懲役1年2月(うち4月を保護観察付き執行猶予2年)とした。これに対し、村山裁判長は「被告は数か月前から別人格に体を乗っ取られていた」とし、「覚醒剤を使え」という「おっちゃん」の指示に逆らうことは困難だったと判断。「再犯の予防には処罰より治療が有効だ」として、量刑を懲役1年、保護観察付き執行猶予4年とした。

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