産業用モーター大手、日本電産の永守重信会長(74)が運営法人のトップを務める京都学園大(京都市右京区)が4月1日、「京都先端科学大」に改称する。「即戦力の企業人材を育てる」として、英語教育の充実や工学部の新設を打ち出し、今年の入試では志願者数が前年の1・5倍に急増。「カリスマ経営者」による大学運営がどんな変化をもたらすか、注目が集まる。

 「一流大学を出ても入社後の成績が良いとは限らない。それなら、大学を一から作ろうと思った」。昨年12月、京都学園大のオープンキャンパスでの講演で、永守会長は大学経営に参画した理由を説明した。

 1969年に開学した同大学には現在、経済経営、健康医療、人文、バイオ環境の4学部10学科があり、学生数は約3500人。永守会長は昨年3月、親交があった運営法人の当時の理事長から請われて理事長に就任し、「技術や経営で先端を行く大学にしたい」と、大学の名称変更を発表した。

 改革の目玉の一つは、2020年の工学部(定員200人)新設だ。100億円を超える私財を投じ、工学部棟や留学生向けの寄宿舎などの建設に着手。京都亀岡キャンパス(京都府亀岡市)には、小型無人機「ドローン」の演習場や電気自動車(EV)のテストコースを作る構想もある。

 「英語も満足に話せないのに、第2外国語は必要ない」。永守会長は日本電産の採用活動を通じ、大学での語学教育に不信感を持っていたといい、工学部での講義のほぼすべてを英語で行う方針だ。英会話学校大手のベルリッツ・ジャパン(東京)から派遣された教員が英語教育を担い、全学部で英語の必修単位数を従来の4倍の16単位に増やす。

 4月に学長に就任する前田正史・元東京大副学長(66)は「他大学とも人材交流ができる自由な発想の大学にしたい」と話す。

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 京都学園大の今年の入試の志願者数は、前年の1008人から1568人に増加。志願倍率も一部の学部を除いて前年を上回り、平均倍率は2・64倍から4・1倍に伸びた。健康医療学部1年の女子学生(21)は「大学のイメージがアップし、変化への期待が集まっている」と喜ぶ。

 永守会長は「東大、京大に次ぐ水準の大学を目指す。そのためには、自分の資産を全部つぎこんでもいい」と意気込む。

 大学の経営・教育改革を進める「大学マネジメント研究会」会長を務める本間政雄・立命館アジア太平洋大客員教授は、「新設する学部は改革をしやすいが、大学の評価を上げるには既存学部の底上げも課題になる。企業のように短期的な成果を求めるのではなく、中長期的にどのような人材が輩出できるか注目したい」と話している。

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 永守会長は京都府向日市出身。職業訓練大学校(現・職業能力開発総合大学校)を卒業し、28歳の時に日本電産を京都市西京区で創業した。国内外で企業買収を繰り返して事業を拡大。パソコンなどに使われるハードディスク駆動装置(HDD)向け小型モーターの世界市場で高い占有率を誇る。

 2018年6月、日産自動車から日本電産に入った吉本浩之副社長(当時)に社長を譲ったが、会長兼最高経営責任者(CEO)として今も経営に携わっている。同社の18年3月期の連結売上高は約1兆4880億円。従業員はグループ全体で約10万7500人。

3月31日 13:30 読売
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