■正午に「首相談話」、ほぼ全局が生中継という異様な時代の幕開け
どうして、この男がしゃしゃり出てくるのか。
1日発表された「新元号」。「昭和」から「平成」に変わった時は、小渕官房長官が「平成」の墨書を掲げ、竹下首相の談話も代読した。今回もそれで十分だったはずだ。
ところが、午前11時40分に菅官房長官が新元号を発表した後、わざわざ安倍首相が正午すぎに記者会見を開き、新時代の幕開けを告げる新元号への考え方や国民へのメッセージを発表した。
さすがに、多くの国民は違和感と嫌悪感を覚えたに違いない。
前例を踏襲し、官房長官に任せればいい話なのに、「手柄は誰にも渡さない」「晴れ舞台の主役は俺がやる」という、さもしい心根が透けて見えるからだ。
小渕長官が「平成おじさん」と呼ばれて一躍有名になり歴史に名前を残したこともあって、
政界では2月以降「安倍首相が自分で新元号の発表をしたがっているらしい」「いや、さすがに露骨すぎるだろう」という話が飛びかっていたが、結局、臆面もなく発表した形だ。
 しかも、国民の多くが注目するように正午というスケジュールを事前に公表し、リハーサルまで実施して新元号の墨書を入れた額縁の立てる方向まで確認する念の入れようである。
一体この男は、国民のための新元号発表をなんだと思っているのか。
「これまで安倍首相は、モリカケ疑惑など、政治を私物化していると散々批判されてきました。とうとう、新元号の発表まで私物化している。
新元号の発表は、官房長官が事務的に行えば済むことです。なのに、事前に日程まで公表し、一大セレモニーのようにショーアップしている。
一番の問題は、皇室を政治利用していることです。新元号に便乗しているのは明らかでしょう。象徴天皇制では、天皇を政治利用しないということは大原則のはずです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
平成は「失われた30年」だった。
新時代は希望あふれる時代になって欲しいと国民の多くが願っている。
ところが、自己陶酔型の安倍首相が「したり顔」で国民へメッセージを送り、それをテレビ局が一斉に生中継するのが新時代の幕開けなのだから薄気味悪い。敏感な国民は嫌な予感がしているのではないか。

■露骨すぎる安倍首相、官邸の元号セレモニー
官房長官から「手柄」を横取りしてまで、安倍首相が新元号を発表する魂胆は明らかだ。
一番の狙いは歴史に名を残すことだろう。6年も総理をしていれば、普通、1つや2つ歴史に残る実績があるものだ。<佐藤政権は沖縄返還><小泉政権は拉致被害者帰国>と、長期政権はレガシーを残している。
ところが、安倍政権には1つもない。実績ゼロだ。歴史に名を残すには、小渕官房長官のように新元号を発表すればいいと計算したのは間違いない。
と同時に、なにもかも行き詰まった安倍政権の“失政”を覆い隠そうとしているのはミエミエである。
この6年間、安倍政権は国民をだましつづけてきたが、さすがに“経済指標”を捏造していたことが発覚し、国民もアベノミクスが失敗に終わったことに気づきはじめている。
なにしろ、労働者の実質賃金はマイナスである。外交も八方塞がり。北方領土の返還は遠のき、拉致問題は解決の糸口さえない。

※ソースに続き有り(4ページ以降)
(ソース)日刊ゲンダイ 巻頭特集
露骨な新元号、新天皇の政治利用「令和」幕開けの異様<上>
公開日:2019/04/01 17:00 更新日:2019/04/01 17:15
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/250953