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今期ホッキガイ漁獲1億円割れ 三沢漁港
2019年4月4日更新

 三沢市漁協は3日、三沢漁港に水揚げされた冬の味覚・ホッキガイの今期(2018年12月〜19年3月)の漁獲金額が、9980万7690円(前年度比21.4%減)と1億円を割り込んだことを明らかにした。統計のある1996年度以降、東日本大震災のあった2011年度に次ぎ2番目の低さ。供給過剰で前例のない安値となった上、安値対策で3月に休漁したことが響いたとみられる。

 三沢漁港に水揚げされるのは、三沢市漁協と百石町漁協の所属船が漁獲したホッキガイで、三沢市魚市場で入札にかけられる。今期の1キロ当たり取引価格は236.9円と、水揚げ数量の多かった09年度の228.0円に次ぐ安さ。漁獲量は421トン(前年同期比3.9%減)と過去7番目に少なかった。

 1キロ当たり価格は1月の平均が258.7円(前年同月比91.1円安)、2月には平均192円(同59.4円安)と、利益を生み出す目安とされる1キロ200円を下回った。3月は4日に底値73円、平均96円に暴落。しけや出漁見合わせを経て、入札が再開された14日は価格が持ち直したが、月末に再び低下した。

 ある漁業者(45)は「20数年間でこれほど安かったのは初めて。利益を出せず大変だ」、別の漁業者は「仕事にならない。従業員の人件費を払えない」と話した。

 関係者によると、震災以降に流通していなかった福島県産が流通したことなどで、供給が過剰状態という。三沢市漁協の担当者は「安値傾向は今後も続く可能性がある。状況によっては現行の(漁獲などの)ルール見直しが必要になるかもしれない」、市の担当者は「地元の消費拡大に努めることが必要」と語った。

 ホッキガイ漁は資源管理を狙いに、漁期や操業時間、1日当たりの漁獲量などが定められている。燃油対策や漁の効率化のため、三沢市漁協は1隻につき2隻分、百石町漁協は1隻で5隻分の割当量を漁獲する「共同操業」を実施している。