https://mainichi.jp/articles/20190404/k00/00m/040/086000c

婚姻届に署名し、借用書も作ったのに…事件後に末期がん診断された被害女性
毎日新聞 2019年4月4日 12時03分(最終更新 4月4日 12時11分)

 「点滴の1本分でもいいから、お金を返してほしい」。被害に遭った女性(40代)が毎日新聞の取材に応じ、苦しい胸の内を明かした。事件後に末期がんと診断され、高額な医療費の支払いに悩まされている。

 2015年4月、行きつけの飲食店経営者から紹介された弟が、間宮敏昭被告だった。「山形県で中古車販売店を経営している」と話す被告に、好感を持った。女性はすぐに交際を始め、デートを重ねた。

 しかし約1カ月後、「一緒に暮らしたいから、お金を貸してほしい。子どももつくってあげる」と持ちかけられた。付き合って間もないのでためらったが、女性は再婚して子育てすることを強く望んでいた。悩んだ末、両親の老後のために蓄えていた貯金をはたいて500万円を渡した。

 間宮被告は婚姻届に署名し、借用書も作った。追加で96万円も貸したが、その後は「仕事が忙しい」などと言われてほとんど会えなくなった。結局、被告は婚姻届を出さず、同年10月には別の女性と結婚していた。

 一方、女性は17年2月にがんが見つかり、医療費が重くのしかかる。症状が悪化し、今月から休職を余儀なくされた。間宮被告にも病気のことを伝え、何度も返済を求めたが、返ってきたのは30万円ほどだという。

 女性は「ボートや車を買う金があるのになぜ返さないのか。絶対に許せない」と憤った。【遠藤浩二】