◆ 沖縄の「泡盛」原料を国産化し世界へ!安倍首相も巻き込み政府が泡盛PRのワケ

・「泡盛の女王」が安倍首相と面会してアピール
・原料をタイ産米から沖縄産米にしたいワケ
・日露首脳会談でも泡盛談義…世界へのPR推進へ

沖縄県のお酒と言えば「泡盛」。
日本最古の蒸留酒として約600年の歴史を誇り、九州の焼酎の源流も泡盛にあるとされる。
沖縄県内での泡盛製造所は47か所で、うち20か所は離島に所在する。

この「泡盛の魅力」を安倍首相に伝えるため、沖縄県酒造組合と3人の「泡盛の女王」が4月8日、首相官邸を訪問した。
実は泡盛をめぐり、国を挙げたプロジェクトが進行しているのだ。

沖縄で作られる泡盛の原料は「長粒種(ちょうりゅうしゅ)」という粒の長い品種のお米だ。
しかしこの長粒種は「タイ米」とも呼ばれている通り、日本ではほとんど生産されず、沖縄でも栽培されていない。

そのため泡盛はタイからの輸入米を用いて製造されているのだ。
そして今、沖縄が誇る琉球泡盛を県外、さらに世界に発信しようとしているのだが、原料となるお米がタイから輸入されていては、せっかくの沖縄産という価値が下がってしまう。

そこで、泡盛のブランド価値を高めるべく、「沖縄で長粒種米を育てよう」というプロジェクトが今年1月、立ち上がった。
地域に根差した原料調達を意味するフランス語「テロワール」をとって「琉球泡盛テロワールプロジェクト」と名付けられたこの取り組みは、沖縄での長粒種米の試験栽培に始まり、今後、泡盛製造業者の需要と長粒種米生産者の供給をマッチングさせていくことで、「オール沖縄」での琉球泡盛づくりを目指すことにしている。

「琉球泡盛テロワールプロジェクト」に加えて政府が取り組むのは、琉球泡盛の海外展開を促すべく、官民一体となった「琉球泡盛海外輸出プロジェクト」だ。
2020年に泡盛の輸出を倍増させるという目標を掲げている。

背景にあるのは、泡盛製造業が沖縄の貴重な地場産業であり、雇用の確保や地域経済の振興に重要な役割を果たしていること。
その一方で、海外輸出について琉球泡盛は、日本酒やウィスキー等に比べ出遅れていることなどが挙げられる。
政府は、内閣府・農林水産省・外務省など省庁横断でこのプロジェクトに取り組み、在外公館等での会食や文化行事などにおいて泡盛をPRするほか、民間による欧米・アジアでのモデル事業実施を通じ、泡盛酒造所の販路拡大に向けた事例共有を図るなどしている。

続いて安倍首相は、甕入れ(かめいれ)と呼ばれる「儀式」を体験、43度の泡盛3本を1つの甕に注ぎ合わせた。
安倍首相は泡盛を味わいたそうな表情をしていたが、同席者によると執務時間中につきこの席では口にせず、夜までお預けにしたという。

宮腰沖縄担当大臣によると、報道陣退出後、安倍首相は泡盛を引き合いに、ロシアのプーチン大統領とのやりとりを紹介したという。
泡盛と同じく「スピリッツ(蒸留酒)」に分類されるウォッカについて、プーチン大統領は過去に安倍首相に対し「まさかウオッカを水割りで飲むなんてことはないよね」と話し、安倍首相も同様に「泡盛も水で割って飲むのは良くないよね」と応えたという。
そこで両首脳は「泡盛は水で割って飲むべきでない」という点で一致したという。

なかなか一筋縄ではいかぬ日露交渉において、一つ“合意に達した”トピックであった泡盛。
宮腰沖縄担当大臣は次のように述べ、国を挙げて泡盛を支援していく構えを示した。

「600年の歴史、日本で唯一お酒を寝かせるという伝統持っているところをしっかりとPRして、日本の国酒として、本当に世界に誇るべきお酒であると、さらにPRしていきたいと考えている」
今度泡盛を口にする際には、その“国策”としての意義にも思いを巡らせつつ、今後の動きに注目していきたい。

(フジテレビ政治部 首相官邸担当 山田勇)

(写真)
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FNN PRIME 2019年4月10日 水曜 午後6:00
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