https://mainichi.jp/articles/20190410/k00/00m/040/232000c

優生保護救済法案、来週中にも成立 衆院委で可決
毎日新聞 2019年4月10日 21時10分(最終更新 4月10日 21時10分)

 旧優生保護法(1948〜96年)下で不妊手術を受けた障害者らへの救済法案が10日、衆院厚生労働委員会で全会一致で可決された。11日に衆院を通過し、来週中にも成立、月内に施行される見通し。ただ、被害者や支援団体からは一時金の額や周知方法を巡って再検討を求める声も出ており、被害救済がスムーズに進むかは不透明だ。

 法案は、被害者が国家賠償訴訟を起こすことが明らかになった2017年12月以降、超党派の議員連盟や与党ワーキングチーム(WT)が作成に当たり、議員立法で提案した。同法に基づく不妊手術だけでなく、規定外の子宮摘出手術、目的が「母体保護」や「病気の治療」のみだったことが明らかな場合以外の生殖機能をなくす手術を受けた人らにも、国が一律320万円の一時金を支払う。

 厚労省に残る資料では、同法に基づく不妊手術は約2万5000人が受けたとされるが、氏名が確認できる手術記録は1割強の約3000人分しかない。このため、記録がないケースでも、本人や関係者の証言などで幅広く被害認定する。過去の謝罪については、前文で「我々は、それぞれの立場において、真摯(しんし)に反省し、心から深くおわびする」と記した。

 委員会の質疑で趣旨を説明した与党WT座長の田村憲久・元厚労相(自民)は冒頭、過去の不妊手術に対して「深くおわびを申し上げる」と謝罪。前文の主語を「我々」とした点は「主に旧法を制定した国会、法律を執行した政府を念頭に置いている」と述べ、国の責任の明示を求める被害者側に理解を求めた。

 また、根本匠厚労相は答弁の中で、被害が特定できる本人に通知する制度設計になっていないことについて「(請求の)手続きなどを速やかに周知し、相談支援を進めたい」と説明し、被害認定した翌月末には一時金を支払うなど迅速な対応を図ることを強調した。【阿部亮介、酒井雅浩】
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