2019年04月11日 12:31
 記事によって名誉を傷つけられたとして、ITコンサルタントや大学教授ら男女5人が8日、インターネットのサイト「netgeek(ネットギーク)」のサイト運営者に対し損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。「バイラル(感染的な)メディア」を自称する一方で、運営者の情報を一切明かさず、誹謗(ひぼう)中傷を含んだ記事を量産してきたネットギーク。沖縄関連でも市民運動を侮辱する表現を使って記事を拡散し続けている。

 「バイオハザードより怖い。沖縄基地反対派がフェンスをガンガン揺らす様子」「沖縄に集まった基地反対派のプロ左翼、行動がサルと同じだと話題に」

 ネットギークの沖縄を巡る記事で付けられたタイトルの一部だ。同サイトで沖縄関係の記事は確認できるだけで27本あるが、多くに扇動的で過激な見出しが躍っている。

 ネットギークはサイト上に掲載される広告収入を得て運営している。ネット利用者がページを閲覧するだけで運営者に広告収入が入り、閲覧数が増えれば増えるほど利益が膨らむ仕組みだ。

 琉球新報が入手したサイトの内部資料「netgeek編集ルール」によると、サイトが重要視していたのは記事のタイトルの付け方だとされる。文書は「タイトルが面白いとそれだけでシェアされる」とし、(1)注目されるキーワードを入れる(2)大げさにする(3)「衝撃の結末が」など、ついクリックしたくなる(内容の)隠し方をする―などのこつが記された。

 訴訟の中心となっているITコンサルタントの永江一石さんは「広告収入を稼ぐ上で、『ネトウヨ風』の記事の方が閲覧が多いと思ったのだろう。(記事が過激になる)そのはしりが沖縄関係の記事だったと思う」と分析する。

 永江さん自身も、ツイッター(短文投稿サイト)でたばこを嫌う投稿をした際、その内容をネットギークが記事にし「常識では考えられないような奇行」「自己中心的で頭がおかしい」などと記された。ネットギークによる個人攻撃によって被害を受けた人の中には、ネット上で中傷されたために収入が減った人もいる。

 永江さんは「ネットギークは運営者の情報を明かさず、収入のために個人をおとしめてきた。(ネットには)匿名なら何をしてもいいという感覚があるかもしれないが、この状況を放置できない」と語った。サイトを運営しているのは30代男性とみられる。琉球新報は昨年11月下旬以降、運営者の男性にメールや電話で取材を申し込んでいるが、回答はない。

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-901754.html
https://030b46df30379e0bf930783bea7c8649.cdnext.stream.ne.jp/archives/002/201904/1b16c7ff0d3bbba33e218ae1aabf74be.jpg