西成・あいりん地区の「街頭テレビ」復活 地元企業が管理引き継ぐ
毎日新聞 2019年4月12日 19時49分(最終更新 4月12日 19時57分)
https://mainichi.jp/articles/20190412/k00/00m/040/221000c

https://i.imgur.com/3LEhqOZ.jpg
三角公園に復活した街頭テレビ=大阪市西成区で2019年4月12日午後2時40分、猪飼健史撮影
https://i.imgur.com/KR7ulR8.jpg
三角公園で街頭テレビを見る人たち=1981年8月14日、松繁逸夫さん撮影(西成情報アーカイブ提供)

 大阪市西成区のあいりん地区で、半世紀以上、労働者の娯楽として親しまれてきた街頭テレビが12日、約1年ぶりに復活した。昨年3月に壊れ、大阪府警西成署が撤去を検討するなど存続が危ぶまれていたが、地元企業が管理を引き継ぎ、新しいテレビを設置した。

 管理を引き継いだのは、地域活性化などに取り組む「萩之茶屋地域周辺まちづくり合同会社」。この日午後2時半ごろ、社員らが40インチのテレビを公園に運び、高さ約2メートルの支柱の上にある観音開きの箱に収めた。画面が映ると、作業を見守った約10人から歓声が上がった。当面は午後6〜10時に見られる。

 西成署によると、街頭テレビは1964年、通称・三角公園(萩之茶屋南公園)に設置。72年から署が管理し、電気代やNHK受信料を負担していた。

 しかし、昨年3月18日、7台目になるテレビの液晶にひびが入り、一部が映らなくなっているのを署員が見つけた。署はこれを機に対応を協議。「公費を使うのは適切ではない」として同社に管理の引き継ぎを打診し、快諾を得た。

 同社の牧憲一事務局長によると、「この地域で街頭テレビは必要とされている」と判断したといい、福祉団体が残した約15万円の寄付金を購入費や電気代に充て、その後は同社が負担する。

 日雇労働被保険者手帳を持つ労働者は86年度の約2万4000人がピークで、2017年度は853人にまで減った。近くに住む元日雇い労働者の男性(61)は
「街頭テレビは三角公園のシンボル。この1年はアパートで1人でテレビを見てさみしかった。大勢で大相撲やプロ野球のナイターを見たい」と喜んだ。署幹部も「移管先が見つかってよかった」と話している。【柴山雄太】


<大阪・西成>「中華街」構想 華僑ら100軒計画有料記事
https://mainichi.jp/articles/20190214/k00/00m/040/107000c
<大阪・西成>日雇い労働者の「居場所」あいりん総合センター閉鎖
https://mainichi.jp/articles/20190330/k00/00m/040/135000c