沖縄タイムス 2019年4月16日 08:28
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/409434

 「会いたい、会いたいよ」−。生きていたら、今月一緒に東京ディズニーランドに行く計画だった。
殺害された沖縄県北谷町の女性(44)と家族ぐるみの付き合いがある友人で、
海軍兵の男(32)とのトラブルの相談を受けていた女性=30代=が15日、本紙の取材に応じた。
子どもを「宝物」と呼び、芯が強く前向きで「太陽みたい」だったという被害女性。
米軍から「キャンプ・シュワブに隔離中」と聞かされていた男が事件直前、自宅周辺に出没しているとのうわさを聞き、強い不安や恐怖の中にいたという。

 友人によると、被害女性が交際関係にあった男に別れを切り出した昨年秋ごろから、
待ち伏せされ自宅に押し入られて物を壊されたり、監禁されたり、周囲の人に対して嫌がらせをされたりするようになった。

 「軍関係だから日本の警察だけでは対応が弱い」と話し、軍側にも積極的に解決を訴えていたという被害女性。
友人は「彼女は泣くだけの弱い女性ではなく、毅然(きぜん)と対応していた。
軍や警察に何度相談しても犯罪行為や嫌がらせが止まらず、なぜこんな理不尽な目に遭うのか悩んでいた」と振り返る。

 被害女性から交際中に紹介された男について、友人は「人当たりがよくいい人そう」と印象を抱いたという。
だが男は複数の女性と同時に交際していたといい、被害女性が別れを決意するきっかけになった。

 飲酒や喫煙をせず、毎朝5時起床だったという被害女性。
ランニングと掃除を終えて子どもを学校に送り届けて出勤し、美容関係の職場では人材育成や店舗管理を任されていた。
「自慢の仕事で子どもを育てられていることが私の誇り」と周囲に語ってもいた。

 友人は「心優しい米兵もいる。問題は基地の存在より、なぜ犯罪行為をした男が野放しにされていたのかだ。
痴情のもつれなどでなく、彼女は軍と県警の管理の甘さの犠牲になった」と訴える。
事件後にインターネットで被害女性への心ない言葉も目にした。
「彼女は素晴らしい女性で、自立した母親だった。本当の彼女について話すことが、私が彼女にできる唯一のこと」と言葉を選んだ。