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アップルとクアルコム、知財紛争で全面和解
2019年4月17日 4:34

【シリコンバレー=白石武志】スマートフォン(スマホ)向け通信半導体の知的財産をめぐり米国内外で訴訟合戦を繰り広げていた米アップルと米半導体大手クアルコムは16日、全ての訴訟を取り下げることで合意したと発表した。詳細な条件は明らかになっていないが、アップルが高すぎると訴えていた特許使用料について和解に達したほか、同社がクアルコムから半導体の調達を再開することでも合意した。

アップルは特許使用料を過大に請求しているとして、2017年にクアルコムに対する訴訟を起こし、自社のサプライヤーにクアルコムに特許使用料を払わないよう指示してきた。クアルコムはアップルに対抗して米国内外で知的財産侵害の訴えを起こすなど、大規模な知財紛争に発展していた。

アップルは17年以降、段階的にクアルコム製半導体の採用比率を引き下げており、18年秋に発売した「iPhone」の最新モデルからはクアルコム製品を排除していた。ただ、次世代通信規格「5G」の開発をリードするクアルコムから半導体を調達できないことでiPhoneの5G対応はライバルに遅れていた。

16日の共同声明の中では、アップルとクアルコムが半導体の供給契約を含む6年間のライセンス契約を結ぶことも明らかにした。契約には2年間の延長オプションもあるという。iPhoneの5G対応に遅れが生じる中、クアルコムからの半導体調達を再開するために、アップルが特許使用料の支払い条件をめぐって歩みよった可能性がある。