熊本県は17日、熊本地震からの復興に向けて被災地に設ける人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」のキャラクター像8体の配置場所を発表した。被害状況や周遊のしやすさなどを考慮し、震度7を2度観測した益城町など8市町村に1体ずつ割り当てた。今年度はうち4体を設置し、来年度までに完成させる。

 ワンピースは熊本市出身の尾田栄一郎さんの作品で、海賊王を目指す少年ルフィが「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を求め、「麦わらの一味」と冒険の航海を続ける物語だ。

 復興を後押ししようと、県は昨年11月、尾田さんの了解を得て船長のルフィ像を県庁に設置した。さらに麦わらの一味の仲間8体も設けることを決定。県内全45市町村のうち31市町村が設置を希望していた。設置費は寄付金などとして、尾田さんが県に寄せた8億円の一部を使う予定。

 決まったのは、益城町のほか、熊本城が被災した熊本市、阿蘇大橋が崩落した南阿蘇村など。麦わらの一味がルフィの指示を受け、それぞれの被災地で復興を支援するというストーリーに合うように割り振った。

 益城町には、地震後に食料の確保が難しかったことから料理人・サンジを選んだ。全面再開まで約2年8か月かかった動植物園がある熊本市には、動物たちを励ます思いを込めて船医・チョッパーをあてた。

 村内の東海大キャンパスが被災した南阿蘇村には考古学者・ロビンを置く。一部区間で運休が続く南阿蘇鉄道の終着駅がある高森町には、早期の全面再開に向け、船大工・フランキーが適任と判断した。

 益城町の担当者は「サンジに力を借りて復興を進め、像を見に来る人たちに元気になった益城を見てもらいたい」と喜んだ。震度6強を観測し、市役所本庁舎が激しく損壊した宇土市はフランキーなどを希望したが選外となった。同市の担当者は「残念だが、素晴らしい企画。諦めず、他のキャラクター像を誘致できないか検討したい」と話した。

 記者会見した蒲島郁夫知事は「地震の風化防止にもつながる。設置されない市町村にも効果が波及するようなアイデアを考えていきたい」と述べた。

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