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とげとげメロンに超ミニキュウリ 珍野菜の種扱う会社
2019/04/22 05:30

 とげとげした形のメロンに、一口サイズのキュウリ、花びらを食べられるオクラ…。田園風景が広がる兵庫県三田市東本庄に、世界の珍しい野菜やハーブの種を扱う会社がある。1897年創業の「藤田種子」(本社・大阪市)。

その数600種類以上で、全国から年間約千件の取引がある。種が販売されるまでには試験栽培をしたり、調理の仕方を考えたり。食卓を彩りたいという社員の女性たちの感性を生かした職場となっている。(山脇未菜美)

 大阪で起業し、戦前から欧米の種を輸入してきた同社。国内でうまく育つかどうかを箕面市の農場で実験して試食し、苗を扱う会社や農家に販売して少しずつ品種を増やしてきた。事業を拡大しようと広い土地を求め、自然の豊かさに引かれて約30年前、三田に事業所を構えた。現在、業務の大部分を三田で行っている。

 海外野菜の人気が出たのは、ここ15年ほどという。ほんのりと塩味がする葉物野菜「アイスプラント」が発端だった。愛らしい形や色が人々の心をつかみ、「レストランで出されるだけでなく、庭で栽培を楽しむ人も増えてますよ」と5代目社長、藤田淳子さん(63)は説明する。

 社員は14人のうち12人が女性。仕事は流行素材の調査や、それを生かした調理方法やメニューに加え、会員制交流サイト(SNS)での情報発信…と多岐に渡る。育児経験のあるママが多く、子どもの健康を話題に食べ物を目利きし、栄養を気遣う「母親目線」が強みになっているという。

 一方、栽培では花が咲いても実がならなかったり、一冬過ぎても芽吹かなかった種子が、たった1週間で数十センチの丈になったりする面白さも。栽培担当の梶本千賀子さん(56)は「何が起きるか分からない」と楽しそうに笑う。

 夢は、三田の特産物になるような種子を提供すること。藤田さんは「縁あって三田にお世話になっている。地域の活性化に貢献したい」と前を見据える。

グリーンゼリーメロン。中はゼリー状でさわやかな風味(藤田種子提供)
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長さ1〜2センチのキュウリ。カリカリとした食感でピクルスや漬物に最適(藤田種子提供)
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