>>15
生活費は障害者年金と福祉制度に依存 

現在、美由紀は母子生活支援施設を出て、職員が用意してくれたアパートで夫と娘と3人で暮らしている。

夫婦ともに働いていないため生活費はすべて障害者年金など福祉制度に依存。施設の職員や市の職員が交代でアパートを訪れて見守りを行っている。

私が美由紀に会いに行った時、2DKのアパートはゴミ屋敷となっていた。2、3日に一度誰かが確認しに来てもこの状態なのだという。同行してくれた施設の職員は次のように述べた。

「娘さんは小学生になりましたが、両親が病気なので発達は同年代の子と比べて遅れています。学校も休みがち。美由紀さんは、今も娘さんにご飯をあげなかったり、ほったらかしにしたりするので、私たちの方で気をつけなければならないのです」

娘は私のような部外者が怖いのか、部屋の隅で隠れて目を合わせようとしない。
心配だったのが、指の爪の周りの皮膚が10本すべて剥けていたことだ。癖でそうしてしまうのだという。「皮膚むしり症」と呼ばれる精神疾患の1つだ。

職員は言った。

「このままだと娘さんの将来が心配なので、どこかの段階で施設に預けることを検討しなければならなくなるかもしれません。
でも、美由紀さんも旦那さんも、心から娘さんのことを愛していますし、2番目の子を乳児院に出したので、この子だけは手元に置いておきたいと言っています。私たちも強制的に引き離す権利は持っていませんので、どうするか悩ましいところなのです」